脇山保育園

福岡市早良区 2019
PHOTOイクマ サトシ(TechniStaff)
Completion : 2019.01
Principal use : Nursery school(保育園)
Structure : RC construction
Total floor area : 1204.07 m²
Building site : Fukuoka, Japan

地域と自然をつなぐカフェのある保育園

福岡市早良区南部に位置する脇山保育園は前身の保育所設立が昭和6年のため85年以上の歴史がある。計画地は田園風景が広がる市街化調整区域で南側は脊振山系、小笠木川が隣接する日本の原風景残り、自然豊かな地域である。旧園舎の老朽化や地域の待機児童解消のため移転改築が計画された。設計にあたり、保育園から「脇山の自然を取り込みたい」「保育園の機能に加え、地域とのつながる空間を備え、地域を明るくしたい」と要望が示された。周囲の豊かな自然を取り込むために脊振山系と対峙した自然景観軸を最優先に設け建築のアウトラインを構成し、地域との交流が行える空間(カフェ)を保育園の機能と融合させている。地域の方々や地域の学生、保護者の利用を想定し、多目的ホールと吹抜を介してして保育園、自然空間、地域を有機的につなぐことを意図している。また多目的ホールはランチルーム、雨天時の運動スペース、発表会・講演会のホール及び舞台、延長保育室など様々な機能を担っておりフレキシブルに対応できる機能を備えている。園庭や脊振山系を眺める快適な南側はできるかぎり開放し、通行量の多い北側は閉じ、建築が園児を内包し、安心を感じられるよう計画している。夜間は道路側バルコニーに行灯をイメージした照明を設け、合せガラスを通した優しい光が地域のシンボルとなることを目指している。構造は用途から耐久性、耐火性、遮音性、耐振動性を考慮し鉄筋コンクリート造ラーメン構造とし、自由な壁構成、将来の容易な改修へ対応できるよう配慮している。外周の半分以上にキャンチレバーで2階床を設け、下部を駐車場や車路として有効活用している。内外装ともアースカラーで落ち着いた色彩計画とし、周辺環境と調和図っている。今後も地域の保育園として地域の人々が集い愛され、豊かな自然環境に包まれて子どもたちの思い出の場所となっていくことを期待している。